神奈核ニュース No.3(1997.1) 目次


定例研究会200回を向かえるにあたって代表幹事
  横浜労災病院
渡辺 浩
神奈核の存在川崎市立井田病院
  放射線部
長谷川 武
第188回定例研究会
 循環器呼吸器病センターの紹介
神奈川県立
 循環器呼吸器病センター
  循環器科
中尾 正行
第188回定例研究会
 循環器呼吸器病センター施設見学の感想
横浜栄共済病院荒田 光俊
第189回定例研究会
 メンテナンスの基礎
東芝メディカル東京サービス(株)
  東京営業所
長谷川 隆
第189回定例研究会
 新世代SPECT装置の展望
シーメンス旭メディテック株式会社
  核医学プロダクトグループ
中辻 博
第190回定例研究会
 99mTc-MIBIによる
  副甲状腺機能亢進症の診断
横浜市大浦舟病院
  放射線科
竹林 茂生
おさかな釣り会に参加して神奈川県立がんセンター森 香奈
神奈核釣行シーメンス旭メディテック小野 宏行
第191回定例研究会
 忘年会(箱根山水)
最新のガンマカメラの紹介
東海大学病院村上 剛
家庭サ−ビス(1)警友総合病院金谷 利久
私のパソコン活用術(2)
  ネットサーフィン
横浜労災病院石川 雄三
編集後記東海大学病院
  核医学
村上 剛


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定例研究会200回を向かえるにあたって
代表幹事 横浜労災病院
渡辺 浩


 会員の皆様、明けましておめでとうございます。今年も研究会同様宜しくお願い致します。
 光陰矢の如しとはよくいったもので、私が横浜に来てからの6年間、特に研究会の代表幹事を引き継ぐようになったここ2年間は、日々の忙しさに忙殺されてあっというまに過ぎてしまったような気がします。
 さて、神奈核では毎年10回の定例研究会を開催しておりますが、諸先輩の長年のご苦労の結果、定例研究会が平成9年度中に200回を向かえることになりました。開催回数が200回を数えるような研究会は、核医学の研究会としては、他に類を見ないのではないのでしょうか。それだけこの200回の1回1回にご苦労されてきた幹事の方々とそれに出席され支えてこられた会員の皆様のご努力に敬意を表するものです。
 その栄誉ある節目を向かえるにあたって、その業績にふさわしい記念大会を催すべく、幹事一同、新年当初から企画を立てている最中です。また、いつもの定例研究会についても、参加してよかったと思って頂けるものにすべく、テーマを日夜考えております。しかし、会員の皆様のためになる研究会としていくためには、やはり皆様のご意見が必要になってきます。いつもこのように皆様にお願いをしておりますが、社交辞令では無く、是非ご意見をお聞きしたいと考えておりますので、心臓のテーマをいっぱいやってくれですとか日頃あまりやらないような特殊な検査をテーマにしてくれとか、何でも結構ですので是非我々幹事までご連絡頂ければと思います。せっかく歴史と実績を持った研究会が身近にあるのですから、必要な情報を要求して活用してほしいと思います。それが研究会の発足理由でもあるのですから。



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神奈核の存在
川崎市立井田病院 放射線部
長谷川 武


 神奈川核医学研究会の存在を認識するために、Antanu Henri Becquerelの放射線発見からの歴史を探ってみました。
 1896年に物理学者A.H.Becquerelによる放射線発見も、100周年記念を終えて2世紀目に突入しましたが、1913年にジョージ・ヘヴェシーにより放射性同位元素をトレーサーとして利用して以来、医学・工学・農林水産等に放射線のトレーサー利用は、さまざまな技術に応用されてきました。
 B.Cassenによるシンチスキャナーの開発(1951年)、Angerによるガンマカメラの開発は1956年であり、Mo-Tcジェネレータはその翌年にアメリカで開発されております。この頃、原子炉生産のRIが日本に到着し、かつ、1955年に日本では原子力基本法が制定されております。日本アイソトープ協会の創立はその翌年ですから、日本での核医学利用はこれ以降であり、シンチカメラを米国より輸入したのが1967年、第1回世界核医学学会が東京で開催されたのが1974年でした。
 一方、1963年頃から県内にも放射線取扱主任者の取得者が現れ、一般病院でのRI利用の到来が予測されました。
 神奈川核医学研究会(神奈核)の始めは県内の7施設が集まって、昭和44年7月11日に日本鋼管病院で開催した研究会が発足の日です。当時、神奈川県は目覚ましい発展を遂げており、必然的にRI施設も次々と作られて、核医学診療が時代の花形となって来つつありました。その時から数えると早くも28年を経たことになります。
 当時は、ダイナボットが発売したトリオソルブ検査やバーソン、ヤローが考案した放射免疫分析法によるインスリンassay、Cr・I・Au核種によるシンチスキャナーの時代でしたが、新しく開発されたGa-67 citrateが神奈川核医学研究会の話題の花形となりました。
 神奈川核医学研究会の創立30周年も間近に迫りましたが、当時の「神奈核」の発足は全国に広がる波及効果を生んだのです。特に東京核医学技術研究会・近畿核医学技術研究会とは、ほぼ同時期の発足ですが、神奈核は3〜4月早くスタートしており、兄貴分としてその存在を示すものです。また、神奈核は技師と医師の研究会ということで「技術」の名が付きませんでしたが、他県では核医学技師を中心とする構成でした。しかし、地方の核医学技術研究会が、核医学技師を中心とした「日本核医学技術学会」まで発展したことはご承知の通りです。
 神奈核の代表幹事も6代目を数えますが、それぞれの時代を一生懸命担ってきました。したがって、現幹事さん方の責任として、歴史ある「神奈核」をそれなりの存在価値ある研究会に発展させて頂き、次の幹事へと引き継いでいただきたいと願っております。代表幹事さんを中心に、今年も活躍されますよう期待申し上げます。
 最後に、「神奈核の存在」を活性化させるために、「研究会奨励賞の設定」と「神奈核ニュースの定期発行」を提案したい。また、大学病院以外では核医学専門・専属勤務の医師は少ないので、必然的に核医学診療の主体責任は、核医学技師がその役割を持っていることを認識して、更なる努力を誓いましょう。



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第188回定例研究会
 循環器呼吸器病センターの紹介

神奈川県立循環器呼吸器病センター
循環器科     
中尾 正行


【スライド1】
 当センター(神奈川県立循環器呼吸器病センター)におけるRI検査というテーマで、主に心臓核医学検査についてお話させていただきます。当センターでは、従来RI検査の設備がなく、他院へ依頼するという、医者の立場からも患者さんの立場からも非常に手間のかかるシステムでRI検査を行ってきました。本年6月から、当センターでも、やっとRI検査が可能となり、症例が少しずつ増えてきましたので、その中から症例を呈示していきます。最初に申し上げておきますが、私自身、心臓カテーテル検査を中心として循環器を勉強してきましたので、この施設同様核医学に関しては、素人同然であり、現在も症例を重ねながら、勉強をしているというのが実情であります。

【スライド2】
 当センターにはガンマカメラが3台、そのうち心臓関係で使用するものは、3検出器型のSIEMENS社MULTISPECT3と多結晶型モービルガンマカメラであるSCINTICOR社のSIM-400があります。このカメラにより、Tc製剤を用いたfirst pass法による心機能評価を行っています。

【スライド3】
 心筋血流製剤としては、主に99mTc-TFを使用し、塩化タリウム、99mTc-MIBIも使用可能です。その他に、123I-BMIPP、123I-MIBG、ピロリン酸などを使用しています。

【スライド4】
 Tc製剤の特徴をTlと比較して示します。Tcが優れているのは、半減期が短く、γ線エネルギーが高く、そのため多量投与が可能で、鮮明な画像が得られるという点です。一方Tlは、臨床経験が豊富である点、再分布があり、再分布像が心筋viabilityを示すという点が、大きな特徴です。

【スライド5】
 当センターでの負荷心筋シンチのプロトコールです。原則としてTcを使用し、一日法で行います。負荷像は、Ergometerによる負荷後Tc-TF 370MBqをbolusで投与、first-passをSIM400で撮像し、1時間後SPECT像の撮像を行います。3〜4時間後、安静像としてTc-TF 740MBqをbolus投与しfirst-pass像、SPECT像を撮像します。

【スライド6】
 症例を呈示します。胸痛があり冠動脈造影を行った結果、LADに50%の狭窄を認め、虚血の有無の評価の目的でシンチを行いました。

【スライド7】
 負荷像、安静像とも血流の低下は認められず、内服治療で経過観察となりました。

【スライド8】
 症例2、前壁の陳旧性心筋梗塞の症例です。冠動脈造影の結果、LADは完全閉塞。RCAにも50%の狭窄を認めたため、LAD領域のviability評価とRCAの虚血評価の目的でシンチを行いました。

【スライド9】
 前壁中隔から心尖部はdefectであり、LAD領域のviabilityはないものと判断。RCA領域の虚血は認められず、この症例も経過観察となりました。

【スライド10】
 症例3は、狭心症の疑いで負荷心筋シンチを行ったところ、負荷時に中隔から前壁の血流低下を認め、LADの虚血が疑われました。

【スライド11】
 冠動脈造影では、LAD近位部に75%の狭窄を認め、後日同部位にPTCAを行いました。

【スライド12】
 first-passによる心機能評価を行った症例を示します。心不全の診断で入院。心エコー上、左室腔拡大とびまん性の壁運動低下を認め、拡張型心筋症が疑われましたが、陳旧性心筋梗塞も否定できず、安静心筋血流シンチを行いました。前壁から心尖部と下壁の血流低下を認め、陳旧性心筋梗塞の可能性が高いと考えられました。first-pass法では、左室拡張末期容量の増加、一回拍出量の低下、および23%と著明な左室駆出率の低下を認めました。

【スライド13】
 心カテの結果、RCA、LAD、LCXともびまん性の狭窄を認め、陳旧性心筋梗塞に伴う虚血性心筋症の診断が確定しました。左室造影では左室拡張末期容量、左室駆出率ともfirst-pass法と比較的類似した値を示しました。

【スライド14】
 当センターでは現在、薬物負荷は行っていませんが、今後このようなプロトコールで行っていく予定です。

【スライド15】
 他の核種を用いた症例を示します。前壁の急性心筋梗塞の症例です。冠動脈造影ではLADに完全閉塞を認めます。

【スライド16】
 発症5日目のTlとTc-PYP dual SPECTと発症15日目のBMIPPのbull's eyeを示します。Tlでは前壁中隔に欠損を認め、その部位に一致してPYPの集積を認めます。BMIPPではタリウムの欠損領域よりやや広い範囲で欠損を認めます。

【スライド17】
 拡張型心筋症の症例のMIBGです。心筋全体で集積低下を認め、分布も不均一です。心筋/胸郭比は早期像で1.6、後期像で1.4と低下を認めます。またwash out rateは44%と著明に亢進しており、交感神経活性が低下していることを示しています。
 以上、当センターでRI検査を開始して約3ケ月間で経験した症例を呈示してきました。最初にお話したように、当センターはRIに関しては素人同然ですので、今後も症例を重ね、勉強をしていきたいと考えています。



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第188回定例研究会
 循環器呼吸器病センター施設見学の感想

横浜栄共済病院
荒田 光俊


 さる9月6日(土)神奈川核医学研究会の主催により県立循環器呼吸器病センターにて増築棟の完成に伴う放射線科設備の拡充で核医学施設、 MRI検査室、放射線治療施設等の増築施設の見学をさせていただく機会を得たことに感謝しております。私自身、勤務先の病院が同様に昨年施設拡充にて核医学、MRI等新設となり未だ整備の足りない所もあるため、参考にさせていただくことが多々あり、有意義なものとなりました。
 核医学施設はまずその広さとゆとりに感心しました。放射線科棟では、設置面積の問題もありますが、えてしてパズルのように各設備を組み合わせて見掛け上はコンパクトな形にしてあって、使用を重ねるうちに『何でこんな造りにしたんだろう』と思うことがよくありますが、その点出入口から奥の部屋まで真直ぐであり、かつ開放感にあふれていてとても良い印象を受けました。
 体外計測室は2検出器対向型ガンマカメラとして日立RC-2600Iと3検出器型ガンマカメラとしてSIEMENS-MULTI-SPECT3の2台が設置されており、直列に配置され、中央の入出口から左右に患者が搬入されるようになっており、作業空間も適当なスペースで保たれ、作業しやすい環境と思います。呼吸器が専門の一つであるためキセノンガスによる吸入および閉鎖回路そしてなかなかお目にかかれないテクネガス吸入用のネフライザーなど付属設備の充実がなされていました。Displayの方で肺の様々なSPECT像があり、多検出器型カメラとの組み合わせでバリエーションが豊富で、実際に検査の現場に立ち合ってみたいです。
 心機能検査室ではエルゴメーターを中心に解析装置を含めて設備の充実には驚くばかりです。また専門の検査室が通常の体外計測室と独立しているのもゆとりあるスペース造りによるものなのでしょう。
 施設案内に先立って中尾先生からのTlとMIBGの心筋に関するケーススタディについて講義を頂き、開設して間もない期間にもかかわらず多くの症例を拝見でき、今後循環器や呼吸器部門でより豊富な情報を提供して頂けたらと思う次第です。
 最後に素晴しい施設見学に機会を提供してくれました県立循環器呼吸器病センター病院の関係者、ならびに神奈川核医学研究会のスタッフに厚く御礼申し上げます。



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第189回定例研究会
 メンテナンスの基礎

東芝メディカル東京サービス(株)
東京営業所 長谷川 隆


 ガンマカメラの保守点検は年間4回、1回2日間で実施しています。表1は東京・神奈川・山梨地区のガンマカメラ台数と保守契約率及び点検率を表しており、90B以降のデジタルガンマカメラになり契約率は75%、点検率は100%と高い値を示しています。901Aが1検出器汎用装置、9300Aが3検出器SPECT専用装置、7200Aが2検出器汎用装置となっておりこの3台のカメラに関して点検作業内容を紹介し、この中からメンテナンスの基礎につながる項目もありまとめてみました。

表1 保守契約及び点検 実績
ガンマカメラ納入台数保守台数契約率点検率
アナログ1428.6%42.8%
90B1275.0%100%
901A423378.6%95.2%
9300A1258.3%100%
7200A1618.7%100%

表2 装置別 点検作業内訳
一日目 ・点検前NEMA確認、
・検出器調整
・CELデータ収集(EC,LC)
・点検後NEMA確認
・基本性能収集
 (直線性、分解能ファントム)
・3カメラ点検前NEMA確認
 (ドーム内収集)
・検出器調整(1カメラ)
・CELデーター収集(1カメラ)
・点検後NEMA確認
・各カメラCENTER調整
・架台 点検
・2カメラ点検前NEMA確認
 (2カメラ同時)
・架台、寝台 点検
・検出器調整
・CELデーター収集
 (2カメラ同時)
二日目 ・架台、寝台 点検
・SPECT均一補正データ収集
 (GP,HR:40Mc)
・SPECT円柱ファントム試験
・WB画像試験
・データー撮影、整理
・中心位置補正(年1回)
・LSFデーター収集
・SPECT均一補正データー
 (HR,FAN:20Mc)
・JISファントム性能試験
 (Hot−Uni)
・寝台 点検
・データー撮影、整理
・点検後NEMA確認
・基本性能収集
 (直線性、分解能ファントム)
・SPECT均一補正データー
 (HR:60Mc)
 (FAN:30Mc)
・中心位置補正(年1回)
・SPECT円柱ファントム収集
・データー撮影、整理

1)GCA−901A
 表2に点検作業内訳を示します。1日目は点検前NEMA確認から検出器調整後、CEL(Collection Energy & Linearity)データー収集作業後に均一性のNEMA評価、基本性能(直線性、分解能バーファントム)確認となり検出器固有性能の調整確認作業を重点実施します。2日目は架台及び寝台の機械点検後SPECT均一補正データー収集(コリメータ:LEGP,LEHR,スラント等で40Mc)しSPECT円柱ファントム試験とホールボディ画像試験しデーター撮影による撮影装置とフィルム濃度を確認し点検終了となります。 検出器の感度不均一性はCFOV値で4.5%以内が仕様値でこの基準値を維持管理するのがメンテナンスの重要な作業であり、収集条件(99mTc濃度、検出器面までの距離、エネルギウインド、収集Rate、収集マトリクス、カウントは決められた手順で常に同じ条件で収集処理できるよう管理しなければなりません。またSPECT検査装置の性能管理として使用コリメーターごとに均一補正データーの収集が必要となり又、中心位置補正は年1回で校正作業を実施しています。
 円柱ファントムは内径20cmのアクリル製で2層に分離され陽性像、均一性像、陰性像になり空間分解能と均一画像を評価可能になっていますが、基準となるイメージは据付時のファントムSPECTイメージであり、アーチファクトが無く据付時の分解能が出ているかを比較検討できるよう施設ごとに光ディスク等に保存しておかなければなりません。

2)GCA−9300A
 9300A以降の装置の特長として検出器安定化回路(OPTOTUNE)機構が搭載されておりPMT感度変動やイメージサイズ変動に対してはリアルタイムで補正動作しているためNEMAのCFOV値は3.5%以内が仕様値で均一性も安定しています。そのためCEL収集は1検出器ごとに実施しています。
 9300AはSPECT専用装置として901A、7200Aの汎用装置とは違った調整が必要となりCENTER調整という項目が追加されシンチカメラ視野中心とイメージマトリクス中心を一致させるための治具とメンテナンスソフトが用意されています。この作業は1日目のCEL収集後に3検出器で実施します。また中心位置補正データーに関してはメンテナンス時に校正はできず、工場出荷時に計測された値で施設据付後もその値のまま補正データーとしてプロジェクションデーターの付帯情報として記録されています。
 2日目のLSF(Line Source Phantom)データー収集にてJIS規格に準じた点状像の空間分解能を測定します。LSFの直径は1mmで中に3〜4 mCi/ccの比放射能で99mTcをいれファンビームコリメータにて収集しきめられた手順の再構成後メンテナンスソフトにてFWHMを求めます。ファンビームコリメータ:SHR(N1)の基準値は8.0mm未満となることを確認します。その後使用コリメータごとに治具を使ったガラス面線源での均一補正データ収集し(20Mc)、JIS準拠のSPECTファントムにて陽性像と陰性像を収集し、φ4からφ15まで6種の空間分解能画質評価を行います。この場合の評価も基準SPECT画像は据付後のイメージであり、分解能がでているかどうかとアーチファクトの発生は無いか等の比較評価になります。

3)GCA−7200A
 2検出器を基本構成としている汎用装置のため均一性収集も2カメカメラ同時収集が可能なように治具とメンテナンスソフトが用意されています。寝台足側に線源を設定するため検出器面までの距離が2.1mと近いがNEMA診断ソフトで距離補正をかけて値を出せるようになっています。点検の流れは901Aとほぼ同じでありますが視野が広いため補正データー収集のカウント数が多めに設定されています。CEL補正収集も2カメラ同時収集が可能になっており点検時間の短縮化になっていますがまだまだCEL収集にかける時間は長く工場との検討課題になっています。

4)ユーザー点検
 最近のガンマカメラはSPECT可能で全身シンチ検査に対応しているためカメラが複雑な動きをするので患者さんの安全性のためにユーザーによる次のような点検項目が重要と思えます。@検出器の上下、回転動作 A架台移動と走行レール表面 B寝台の動作 Cコリメータ交換、取付動作 D接触安全スイッチ E非常停止スイッチ Fケーブル捌き、といった動作に異常は無いかを日常点検として確認します。
 また性能管理に関して、実際に実施済みのユーザーもあるとは思いますが @固有均一性(NEMAによる管理) A円柱ファントムによるSPECT画像評価 Bテストパターンによるフィルム管理、の3項目があげられます。それぞれどのくらいの頻度で実施するかは施設による違いや装置性能の違い、メーカー点検も年3〜4回は実施しているために限定はできませんがユーザー自身による点検の一つとして実施が必要と思います。

5)まとめ
 最近の高性能デジタルガンマカメラの品質管理として、施設及び装置ごとの収集処理条件を検討しメーカーも協力することにより継続的な定期点検を実施し記録管理していけばカメラの性能維持につながり、正確な診断の手助けとなることがメーカーとしてのメンテナンスの基礎であり目標であると思います。



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第189回定例研究会
 新世代SPECT装置の展望

シーメンス旭メディテック株式会社
 核医学プロダクトグループ
 中辻 博


はじめに
 放射性医薬品とその検査機器の進歩は、核医学検査の発展に大きく寄与しています。特に、近年のSPECT装置の開発はめざましいものがあり各社競って新機能を発表しております。その中でも、1.90度可変型デュアル検出器、2.トランスミッション吸収補正、3.511keVイメージングは、 SPECT装置の新三種の神器のようなイメージをユーザーの方々に与えています。今回の報告は、シーメンス社の新SPECT装置"e.cam"を中心に新世代SPECT装置の3つのトレンドについて紹介致します。

1.90度可変型デュアル検出器
 従来のシングル検出器での心筋SPECT検査は、180度収集が一般的でした。これは、心臓は体表面に近い臓器でしかも胸部内には肺、縦隔、骨等の吸収値の異なる臓器があり、また、寝台も影響し、正確な吸収・散乱補正を行わない限り、360度収集は不要との考えでした。しかし、デュアルやトリプル検出器の登場で、全ての検出器を有効に利用し、短時間で感度を向上させようとの目的で360度収集を行う施設が増えてきました。米国では、多検出器カメラでの心筋SPECTは、180度か360度収集かの是非を問う議論は、10年しても決着を見ないだろうと言われています。そこで新たに登場したのが90度可変型デュアル検出器です。2つの検出器を有効に利用しながら、180度収集のデータが得られます(以下90度SPECT )。しかも、180度のデータを90度の回転で収集出来る大きなメリットがあります(Fig.1)。しかし、90度SPECTには短時間撮影以外にトランスミッションデータを効率よく収集出来るというもう1つの利点があります。2つの検出器が直角に配置されることで、2方向から同時に外部線源を照射出来ます(Fig.2)。
 しかし、90度SPECTは、被検者をコリメータに密着しようとした場合、有効視野からはずれてしまう検出器の構造上の問題があります(Fig.3)。この点を解消するためにe.camは、76度SPECTを可能としました(Fig.4)。76度の角度設定を行うことでコリメータに密着でき、しかも有効視野内で収集出来ます。104度の回転で180度のデータが得られます。
Fig.1
心筋SPECTの短時間撮影
Fig.2
トランスミッションデータ収集の効率化
Fig.3
90度SPECTの限界
Fig.4
e.camの76度SPECT

2.トランスミッション吸収補正
 前述したように、心筋SPECT画像には、画像収集時に吸収散乱が複雑に影響し過小、過大評価をおこすという問題があります。初期の吸収補正法(Changの方法など)は体内の吸収係数が均一であるという仮定にたっているため、脳や腹部など比較的吸収係数が均一な組織ではある程度妥当な吸収補正を行うことができますが、胸部など吸収係数の不均一な部位では正確な吸収補正は不可能です。したがって、SPECTにおいてさらに正確な吸収補正を行うには、外部線源を用いて体外照射をし、体内の吸収係数の分布を測定する必要があります。しかし、SPECT装置で正確な吸収補正が可能な最適システムを設計することは非常に難しく、次のような要求が満たされなければなりません。
 ・ トランケーションアーチファクトが発生しないこと
 ・ 180kgまでの被検者において正確な吸収補正が行えること
 ・ スループットを最大限追求すること
 ・ 真のエミッションデータには悪影響を与えないこと
 ・ 201Tlと99mTcで用いることができること
 ・ 心、心電図同期及び腫瘍のSPECT検査にも重点を置くこと
 ・ ランニングコストや線源の交換作業を最小限に抑えること
 ・ 検査時間を最小限に抑えること
 ・ 検査準備にかかる時間と労力を最小限に抑えること
 ・ 被検者とオペレータの被曝を最小限に抑えること
 これらの要求を満たすべく、各社さまざまな方法の吸収補正システムを考案しています。 しかし、180度固定型のデュアル検出器SPECT装置には、線源側の検出器でエミッションとトランスミッションを同時に収集出来ない大きな問題があります(Fig.5,Fig.6)。
 90度直交型の検出器では、2つの検出器を有効に使用できます。現在、ライン線源移動方式(Fig.7)とe.camのマルチプルライン線源配列方式(Fig.8)が開発されています。< BR>
Fig.5
フラッドソース線源方式
Fig.6
ライン線源移動方式
Fig.7
ライン線源移動方式
Fig.8
マルチプルライン線源配列方式

 e.camのマルチプルライン線源配列方式は、スループットを維持するために2対の153Gd線源配列を用いてトランスミッションデータを収集します。この方法により、効率よくエミッションとトランスミッションを同時に行うことが可能となります。e.camの方式の最も大きな特長は、被検者の体内の吸収が最も大きいFOVの中心に最強度線源を置き、プロファイル状に線量分布が得られるようにライン線源を配置したことにあります(Fig.9)。これにより、一般的に用いられるライン線源移動方式 (200mCi)に比べ、半分以下の線源(75mCi)で180kgまでの被検者の吸収補正を正確に行うことが可能となりました。自然減衰したライン線源は中心から外側に6ヶ月ごとにシフトさせ、中心に新しいライン線源を挿入します。この構造により、1本あたりのライン線源の寿命は4年になり、従来のランニングコストを40%削減することに成功しました。
 心臓検査モードでは、2対のライン線源配列は心臓検査に十分な約20cm幅の連続したFOVを確保できます(Fig.10)。さらに大きなFOVが要求される腫瘍検査モードでは、2つの配列は重ならないようにずらすことができ、約40cmのFOVを確保できます(Fig.11)。心臓検査モードでのトランスミッションデータの収集角度は、エミッションと同様に90度のみで可能です。腫瘍検査モードでは、360度の回転が必要となります。
Fig.9
e.camのマルチプルライン線源の線量分布
Fig.10
心臓検査モード
Fig.11
腫瘍検査モード

3.511keVイメージング
 18F-FDGに代表される511keVのエネルギーのポジトロン放出核種のイメージング方法は現在稼動している汎用SPECT装置上で用いられているエクストラ高エネルギーコリメータの他、最新のSPECT装置に搭載されつつある同時計数回路を用いる方法があります。これらの技術は臨床応用や診断技術の向上を目指して開発されてきたものですが、保険適用やトレーサーとしての有効性、18F -FDGの運搬に関する法律的な制約などが影響し、さまざまな疑問を生み出しています。どのような症例に18F -FDGを用いるべきか?どのような方法を用いるのが最適か?保険収入やトレーサーの供給はいつ実現するのか?などです。これらの疑問の多くはいまだ明確な解答が得られていません。そのため、どの方法を導入するかは、アップグレードの可能性や将来的なニーズへの対応などを考慮すると非常に難しい選択となるのが現状です。
 511keVもの高エネルギーガンマ線をSPECT装置で画像化するには、シンチレータの材質という大きな問題があります。 シンチレータの材質として、最も一般的に使用されているものは、NaI(Sodium Iodide)とBGO(Bismuth Germanate Oxide)です。NaIはγ線エネルギーを光に変換する変換効率が高いため、低エネルギーの核種において特に高いエネルギー分解能を示します。そのため、NaIは現在ほぼすべてのガンマカメラに採用されています。しかし、NaIは511keVの核種に対しては検出効率が低いことからポジトロン放出核種のイメージングには適しません。 511keVのγ線の90%強は3/8インチのNaIを突き抜けてしまいます。さらに、NaIの長い不感時間(>800nsec)は計数率が高い時には計数落ちを生じます。近年のデジタル検出器技術は検出効率を最大限に向上させますが、本質的に、同時に発生した隣り合う位置のカウントは影響しあうため、計数率は、NaIの物理的性質に依存して制限されてしまいます。NaIに比べ、BGOは511keVの阻止能が高いのが特長です。しかし、γ線エネルギーを光に変換する変換効率が低いため、エネルギー分解能が制限されてしまい、低エネルギーのシングルフォトン核種には適しません。これらの理由により、BGOはPETのみで用いられ、PET/SPECTの複合スキャナに利用するのは困難です。
511KeVイメージングを行った場合の感度差は、デュアル検出器型ガントリ構造の9.5mmNaIで、コリメータ方式と同時計数回路方式では3倍弱の差しかありません(Fig.12)。全周にBGOを有しない普及型PET装置(ECAT ARTでの2次元収集)と比較しても、かなりの低感度です。やはり、SPECT装置での同時計数回路には、新しいシンチレータの開発が大きなテーマとなっています。
Fig.12
511keVでの感度特性( BGOは、ECAT ARTでの2次元収集)
 最も理想的なシンチレータは、511keVで高い阻止能を有し、シングルフォトン核種に関しても高エネルギー分解能を有するものです。その一つの選択肢としてシーメンスが検討しているのが新しく開発されたLSO(Litetium Orthosilicate)です。LSOは511keVにおいて高い検出効率を有し、光への変換効率も良いためNaIに代わるシンチレータになり得ます。さらに、YSOシンチレータと複合させることによってより高いγ線の阻止能と高い光への変換効率を実現する試みも行われています。
 シーメンスのe.camは511keVイメージングに関して幅広いアップグレードの可能性を考慮した設計になっています。さらにPETで世界第一位のシェアを占める経験を生かし、臨床レベルだけではなく研究レベルのイメージングまでもが可能となっています。

おわりに
 今回は、シーメンスの新型SPECT装置e.camを中心に、新世代SPECT装置の主な機能を紹介しました。この他にも多くの新しい理論が現実化されようとしています。これらの機能は、私たちに大きな夢を与えてくれるとともに、臨床的な効果がどの程度得られるかを明確にするという大切な使命も与えます。医療のため患者さんのためにもさらに努力を続けていきたいと考えています。



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第190回定例研究会
 99mTc-MIBIによる
   副甲状腺機能亢進症の診断

横浜市大浦舟病院 放科
竹林茂生


 副甲状腺は甲状腺上極、および下極の背側にある左右2対に存在している2-3mmの組織と言われているが、実際、その位置は一定ではない。特に下部副甲状腺は傍食道、胸腺あるいは縦隔内に局在することもまれではない。またその数も5腺以上が6-12%にも認められるとされている。副甲状腺機能亢進症には腺腫による原発性(一次性)、腎不全におけるカルシウム代謝の結果、過形成が生じる二次性がある。一次性副甲状腺機能亢進症では通常、一腺の異常を検出すればよいが、、二次性副甲状腺機能亢進症はすべての副甲状腺の局在診断をしなくてはならない。
 99mTc-MIBIシンチは 99mTc-MIBIを740MBq、静注15分(初期像)、2時間後(晩期像)に頚部、縦隔を撮像。MIBIスキャン副甲状腺平均カウント数/ 甲状腺平均カウント数は晩期像にて上昇し、機能亢進に陥った副甲状腺が検出できる。201Tlシンチより明瞭な画像が得られる。
 超音波診断(7.5MHz real-time scanner)では副甲状腺腫は低レベルエコーを呈し、甲状腺背側の副甲状腺腫の診断には有用であり、MRIではT2-強調画像にて高信号を呈して副甲状腺腫診断に利用されている。しかし、縦隔内などの異所性副甲状腺腫の診断には99mTc-MIBIシンチはきわめて有用である。
 二次性副甲状腺機能亢進症 は慢性透析患者にとっては重要な合併症の一つである。我々の成績では副甲状腺全摘術にて29腺が摘除され99mTc-MIBI、および MRIの検出率はそれぞれ58.6%,70.0%であり、一次性副甲状腺機能亢進症の局在診断より劣る。二次性副甲状腺機能亢進症では副甲状腺摘除後に副甲状腺自家移植が施行される。HPTが再発した場合、頚部再手術における反回神経損傷、全身麻酔等の危険性が避けられる理由で亜全摘術よりも全摘術が施行され、前腕副甲状腺自家移植が施行されることが多い。前腕副甲状腺自家移植(Wells法)は 摘除した副甲状腺の1腺を1mm径に刻み8-15個をBrachioradialis muscle 内に置く。これらの症例において、移植副甲状腺過形成、頚部あるいは縦隔の残存副甲状腺過形成による副甲状腺機能亢進症再発に関して検討した結果、前腕移植症例においては99mTc-MIBI平均カウント数、および MRI-T2値比ともに血中副甲状腺ホルモン値、副甲状腺径に相関傾向が認められた。また、超音波像より算出した移植副甲状腺量は移植副甲状腺過形成、頚部の余剰あるいは遺残副甲状腺の過形成診断に有用な指標となりうる。

文献
1. Takebayashi, S, Matsui k, Onohara Y, Hidai H. Sonography for early diagnosis of enlarged parathyroid glands in patients with secondary hyperparathyroidism. AJR 1987; 148: 911-914
2. Wang CA, The anatomic basis of parathyroid surgery. Ann Surg 1976;183:271-274
3. Taillefer R, Boucher Y, Potvin C, Lambert R. Detection and localization of parathyroid adenomas in patients with hyperparathyroidism using a single radionuclide imaging procedure with technetium-99m-sestamibi (double-phase study). J Nucl Med 1992;33:1801-1807
4. Takebayashi, S, Matsui K, , Hidai H. Hyperplasia of autotransplanted parthyroid in the forearm. J Clin Nucle 15:354-355,1990



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おさかな釣り会に参加して
神奈川県立がんセンター
森 香奈


 私は、就職して初めてがんセンターの放射線第3科(核医学科)に配属され半年になります。学校を卒業したての新人を、伝統ある神奈川核医学研究会の釣り会に参加させていただきとても光栄に思っています。
 実を言うと、私は海釣りというものが初めてで、何を持って行ったらよいのか、何を着て行ったらよいのか、正直、前も後ろも判らない状態でした。3科の釣り師でおられるI氏に説明を受け、まずカッパを買うところから始め、ホカロン、酔い止めの薬等そろえ、何となくカタチになってきました。
 当日の朝、船酔いはしたことのない私ですが、念のため酔い止めの薬もしっかり飲み、お手洗いも済ませ、意気込んで6時半出船しました。天気は良く、波も低く、絶好の釣り日和と呼べる日でした。
 初めのうちは釣りの基礎を教わり、おそるおそるかごの中にビニール手袋をした手でコマセをつめて海に放り投げ、「釣れないねえ」なんて声を聞きながらビールを次々と空け、「そのうち釣れるでしょ」と、のんきに構えて楽しんでいました。すると、両隣の上司殿の竿に本命のイナダがかかってきてしまったのです。周囲の人の仕掛けにはイナダ君が食いついているのに、私には釣れてくれません。コマセは減り、ビールの空き缶が増え、酒酔いなのか船酔なのか判らなくなってきました。そのうちイナダやサバ(トラギスなんて変わり種もありました)をしっかり発砲スチロールのクーラーにつめていたM氏はほろ酔い加減で竿を片手に夢の中、また漁師のS氏は、晩酌のお刺身の盛り合わせが頭に浮かび満足だったのかアルコール分をどんどん胃の中に運び、酔っ払って危うく海に落ちそうになっていました。そんな中私のクーラーの中は、コマセを詰め替えている時偶然仕掛けにかかった間抜けなサバさんのみ、寂しく一人横になっていました。
 その後、私の竿にも運良くイナダ君が一匹かかってくれて一安心。その時の竿の感触は何とも言い難く、嬉しいものでした。(部長のO先生は本命君を6匹も釣り、猫様へのお土産のサバもしっかり釣ったそうです。さすが、お見事です!)結局、私の釣果はイナダ1匹、サバ4匹でした。勿論その日の我が家の夕食のメインは、イナダのお刺身(私がさばいたので見栄えは良くありませんが、美味しかったです)とサバの煮物でした。
 私自身の当初の目的であった、神奈核の皆様とお知り合いになる、ということに関してはあまり達成出来ずに終わってしまいましたが、素晴らしい体験をさせていただき、とても充実した1日でした。最後に、この釣り会を企画されました諸先輩方、そして神奈核の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。



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神奈核釣行
シーメンス旭メディテック
小野 宏行


 平成8年10月20日、日曜日、天候曇り、AM 6:45ちがさき丸から出船。私自身今回で3度目の釣りが始まった。今回は、タイ、イナダ狙いだが、それぞれ仕掛けが違うという事なので、私はイナダを狙うべく準備に取り掛かる。過去2度の釣りも沖釣りで去年はイナダ、今年はワカシを釣りに出かけた。この過去2回は自分自身でもびっくりするほど大漁で、仕立て船に乗り込んだ10名全員が15〜20匹のイナダを獲得し、クーラーボックスが満タンになってしまい、午前10時前には岸へ戻ってきたほどである。何でもこのイナダという魚、出世魚との事でワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、と成長するそうである。私は、ブリの引きは未だ経験していないので、チャンスがあれば是非チャレンジしてみたいと思っている。とにもかくにも今回の仕立て船は、定員39名のところ22名とややゆったりとした状況のなか、近隣の船の釣れ具合を横目で見ながら、皆せっせとコマセを巻き始めた。すると何ということだろう。船の先端付近で仕掛けていた宮窪さんが、いきなり真ダイを釣り上げた。周りはいきなりの大物に度肝を抜かれ、我こそもと気合を入れてシャクリ上げる。しばらくすると、サバの群れが入ってきたようで水面近くに泳ぎ回り始めたようだ。そしてほぼ同時にイナダもヒットしだした。アタリが来ている人に聞いたところ、水深20メートルぐらいがポイントらしい。私はタナの位置もつかめずにモタモタしていると、先程仕掛けを手伝ってもらった大物釣り師、宮窪さんからどれくらいの長さがポイントかというのを教えていただいた。しかしながら、一向にアタリは来ない。周囲は少しずつではあるが、着実にヒットしだしている。「あーあ、やっぱり腕の違いがあるんだろうな。」と次第に固まってくる二の腕を揉みながら、シャクリ上げ続けた。すると一瞬サオ先がガクガクと震え、フッと軽くなった。「サバだ。ヤバイ!」サバは、早く上げないと四方八方に動き回るので、モタモタしているとお祭り騒ぎになるのは目にみえている。私は、あわててリールを巻き戻した。咄嗟の判断が良かったようで、周りに迷惑をかけずに済んだ。バタバタと動き回るサバの血抜きをしようと、ナイフを取り出した。なかなか活きが良いサバであやうく自分の手を血抜きしそうになったほどだ。そうこうしているうちに、イナダの食いが少々食い渋り出したのでポイントを移動。次のポイントは、水深30m。船長さんから「底から5mぐらい上へ上へとシャクリ上げて下さい。」とのアドバイスがあり、コマセシャクリ釣法でトライした。すると、近くで釣っていた櫻田さんのサオ先にガツンときたかと思うと一気に海面まで引き込み、次の瞬間横へ横へと走り出した。かなりの大物のようだ。ガクガクと震えるサオ先の様子を伺いながら、少しずつリールを巻き戻す。水面近くでその姿をみせたのは、ヒラソウダガツオだった。私は、その釣り上げられた40センチ級のカツオを見ながら、自分にもそんなスリリングな引きが早く来ないかと密かに期待した。実は、私自身、この釣り会の為に自分用の釣り具を購入していたのである。釣り好きの後輩のアドバイスのもと、カッタクリというイナダ釣りには有利と言われる用具がそれだった。釣りも終盤になる頃、せっかくの秘密兵器を封印をしておくのはもったいない、とこのカッタクリ釣りにかけてみた。しばらくすると、何とまたもやサバの群れが、こんどは大群で入って来た。せっかくのイナダ狙いもこれでは台無しである。何度かチャレンジしてみたが、食い付くのはサバばかり。と、思っていると「あーあ、やられた、お祭りだ。」解く事もできないくらいにグチャグチャになってしまった。皆さん、お騒がせして申し訳ありませんでした。本日の釣果、サバ7匹。脂の乗った良型イナダの魚影が、しばらく夢に出そうだ。



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第191回定例研究会
 忘年会(箱根山水)
  最新のガンマカメラの紹介

東海大学病院
村上 剛


 神奈核の忘年会を兼ねた第191回定例研究会(定例研究会を兼ねた忘年会?)が、数年ぶりに箱根山水で開催されました。
 忘年会に先立ち、定例研究会として、アロカ(Sophy)・シーメンス・GE・島津(PRISM)・住友(ADAC)・東芝・日立の各社(順不同、略称)から、最新のガンマカメラの紹介がありました。
 各社の紹介や議論をまとめますと、可変型の2検出器タイプ、Positron核種への対応、Transmissionによる吸収補正、患者さんや操作者にやさしい設計などがトレンドであり、Positronに関しては核種の供給、Transmissionに関しては線源の法的な問題など、最新のガンマカメラを取り巻く状況には難題も抱えているという内容だったような気がします。
 各社のご努力で、機器は着実に進歩していますが、あえて一言申し上げると、多くのユーザーのニーズに合わせてしまい、基本的なところで似かよった装置になっているような気がします。少数のユーザーにしか認められなくても、各社の特徴が現れた装置の開発も考えても良いのではないでしょうか。
 そろそろ温泉のぬくもり、美味しそうな料理やお酒が、脳裏にちらつき始めました。早々に研究会を終えて忘年会へと・・・
 さらに、二次会へと・・・
 ちょっと勉強になって、大変楽しい一日でした。忘年会幹事のみなさま、ありがとうございました。


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家庭サ−ビス(1)
警友総合病院  
金谷 利久


 皆さん仕事,飲み会,趣味に毎日忙しい日々を送っていると思います。独身の人はいいけど家庭を持っている人はつい家庭サ−ビスを忘れてしまうそういうことは無いでしょうか?
 たまには自分でお菓子を作って家族を驚かしてみませんか?と言うことで簡単なお菓子の作り方を紹介します。

<ババロア>
  材料 牛乳 250 cc
     砂糖 100 g
     卵黄 3個
     粉ゼラチン 15 g
     生クリ−ム 200 cc
     バニラエッセンス

1.鍋に牛乳を煮さましてバニラエッセンスを少量入れる
2.卵黄と砂糖をネトネトになるまでよく混ぜる
3.1の鍋を湯煎にかけながら2を加え60ccのぬるま湯でふやかした粉ゼラチンを加える
  粉ゼラチンの粉が無くなったら湯煎からはずし生クリ−ムと泡立てた卵白(ボ−ルと泡立て器に水分があると泡立たない)を軽く混ぜる
4.型にいれ冷蔵庫で冷やす

やってみると案外面白いかもしれませんよ



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私のパソコン活用術(2)
 ネットサーフィン

横浜労災病院
石川雄三


 朝の5時頃、ふと目が覚め、妻と子供を起こさぬようにそーっとフトンから抜け出し、台所でお湯を沸かしカフェオレを用意する。おもむろにMacの前に座り電源を入れると"フォーン"いう音とともにMacが立ち上がる。WWWブラウザを起動するとモデムが"カタカタ"と小気味良い?サウンドを奏で始める。しばらくすれば目の前には甘美なインターネットの世界が広がってくるのである。
 休日の朝は決まってお昼近くまでフトンの中でモソモソしていたものだが、インターネットに接続してからというものずいぶんと早寝早起きになったものだ。本当は家族の寝静まった頃に楽しみたいのだが、夜の10時から深夜3時頃までは、それはもうたいへんな混雑ぶりであって、人気の高いページに繋げようものなら1つのリンクを開くのに5分もかかってしまう有様なのだ。で、快適なネットサーフィンを求めると朝5時起床となってしまう、やはり人が接続しないような時間帯がベストなのである!!(^_^)
 ところが、この行動が周りの人には理解しにくいらしく「そんな早起きしてまでするもんかね!?」とか「朝っぱらからへんなことやってんなー」だの「くだらん物みてんじゃねーよ」etc。ウーー余計なお世話だ!ほっといてくれ!!である。やはり、かなりハマッてるネットサーファーにしか理解されないのであろうか...(;_;)
 ウーン、書き出しは、鼻歌混じりで心地良かったのに、いつの間にやらグチリながらキーボードをたたいているではないか!?
 さあ明日は土曜日、そろそろ床に就かねば...甘美な世界が私を待っている!



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編集後記
東海大学病院 核医学
村上 剛



 皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 今年になって初めての神奈核Newsを発刊することができました。新年早々にも皆様のもとへお届けできるようにしたいと思っていましたが、年末年始の繁雑さを言い訳にしてズルズル遅れてしまいました。皆様のお手元に届く頃には、1面の「あけましておめでとうございます」の言葉も、しっくりこないことでしょう。
 神奈核ニュースの第3号は、定例研究会4回分の抄録を掲載しました。頂いた原稿には写真や図表がたくさんあり、なんと、本号の文書ファイル(Ward 7.0)の大きさは20MByteを越えてしまいました。原稿を頂いた皆様には、この場を借りてお礼申し上げます。今後とも、ご協力のほどお願いいたします。
 本号より、警友病院、金谷さんのご協力で、家族サービスのコーナーを連載の予定でいます。次号の発刊まで3〜4ヶ月の期間がありますので、その間に1度、みなさんもチャレンジしてみてはいかがですか。他にも連載希望のコーナーがありましたらご一報下さい。
 インフルエンザが流行しておりますが、皆様もお体をおいたわり下さい。
 投稿・ご要望・お叱り・ご感想等は、下記まで、または、お近くの研究会常任幹事までお願いします。

259-11 伊勢原市望星台 東海大学病院 核医学 村上 剛
TEL:0463-93-1121(内3471) FAX:0463-91-1350
インターネットメールアドレス:mura@is.icc.u-tokai.ac.jp



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