| 神奈川核医学研究会200回記念大会特集 |
| 第200回記念大会を終えて | 横浜労災病院 中央放射線部 | 渡辺 浩 |
| 記念講演 21世紀の核医学診断の展望 | 横浜市立大 放射線科 | 池上 匡 先生 |
| シンポジウム 『神奈核の誕生から現在まで』 | ||
| 「神奈核・過去」 | 川崎市立井田病院 | 長谷川 武 |
| 「会則よりみた神奈川核医学研究会の昨日・今日・明日」 | 神奈川県立循環器呼吸器病センター | 中村 豊 |
| 神奈川核医学研究会200回の歩み」 (記録に残る活動の業績) | 東海大学病院 | 福田 利雄 |
| 特別講演 多発性骨転移患者に対する89Srによる除痛治療について | 北里大学医学部 放射線科 | 堀池重治 先生 |
| 神奈川核医学研究会誌No.11が発刊される | ||
| 編集後記 | 東海大学病院 核医学 | 村上 剛 |
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(1)現在できうることとして、第一に一つの検査でできる限り多くの情報を得ようとする姿勢が必要である。例えば図1に示す99m-Tc MDPによるmammoscintigraphyの有用性については、すでにイタリアのグループを中心に確立されており、乳癌の骨転移検査に際しては試みる価値がある。また、糸球体濾過物質である99m-Tc DTPAを使用した腎シンチにパトラックプロット処理を行うことで、通常得られるGFRに加えて本来得られない腎血漿流量(RPF)を同時に求めることができる。さて、上記の3項目についていくつかの例を呈示すると、
a)より正確な病態の把握のために、MRIとのfusion画像の作成の必要性が高まると思われる。これによってMRIのすぐれた解剖情報と核医学の機能情報をドッキングする事ができるからである。ただし現状のソフトウェアは機能的にも価格の面からも不十分である。また脳血流シンチでは、まさに病態の正確な把握のための定量測定が不可欠となると言える。さらに脳循環予備能としてダイアモックスに対する反応性を測定する場合に、従来は2日に分けて検査を行っていたが、今後はコストや患者の利便を考慮して同日法で行われるようになると予測される。信頼できうる方法が確立されれば、患者の状態の変化なしに評価できるため、むしろ2日法より正確であろう。図2に我々の方法(仮にsequential dynamic methodとする)で求めた2回のCBF測定の安定性を示す。ダイアモックス負荷を行わない場合の2回の半脳平均血流値の変動は数パーセント以内であった。次いで
(2)近い将来、おそらく2000年頃に日本で一般的に可能となる技術として、まず同時計数回路搭載 SPECTがある。現在ADAC社製の製品が発売されているが、FDGをはじめとするポジトロン核種を使用できないことにはメリットがないため、広く一般的に使われるようになるのは放射性薬剤メーカーからFDGが供給されるようになってからと思われる。これはPET専用機の、いわゆるクリニカルペットも同様である。ただし、同時計数回路搭載 SPECTを用いたSPECT核種とPET核種の同時画像収集は、PET専用機では不可能なために、むしろ興味深いデーターが得られるかもしれない。次に、欧米では既に膨大な量の経験が重ねられているソマトスタチン 誘導体が挙げられる。元来APUDOMAと呼ばれる神経内分泌腫瘍(インスリノーマー、カルチノイド、肺小細胞癌など)での、ソマトスタチン 受容体の存在を画像化するものとして期待されていたが、その他の腫瘍、例えば乳癌や悪性リンパ腫の描出にも非常に良い成績が報告されている。β線放出核種で標識し、大量投与する事で非密封線源による放射線治療も可能である。できるだけ早く日本でも使用できるようにしてもらいたいものである。
例えば不活化ヘルペスウイルスのチミヂンキナーゼを、癌細胞の中にのみ導入してやることができれば、ガンシクロヴィルなどのウイルスのチミヂンキナーゼによって代謝されることで抗ウイルス活性を発現する薬剤が、抗癌剤として選択的に効果を発揮することになる。問題は目標である癌細胞内だけに、ある程度のウイルスのチミヂンキナーゼが導入されたかどうかということを確認する手段である。ここで標識したデオキシフルオロウリジンを投与すると、ウイルスのチミヂンキナーゼが細胞内に活性を持っていれば、代謝されて取り込まれるために画像として描出されることになる。全く非侵襲的に導入遺伝子の取り込まれた様子がモニタリングできるわけである。このような全く新しい核医学検査が必要とされる時代が来るのではないだろうか。最後に標識アンチセンスによるイメージングについて述べたい。多くの疾患において遺伝子のレベルで異常をきたしている。例えば癌の場合には、いわゆる癌遺伝子に変異を生じていることが多い。DNAやメッセンジャーRNAの変異した部分に相補的な合成ヌクレオチドを合成して、標識後投与すれば極めて特異的な核医学診断が可能になるはずである(図3)。
研究会発足時代核医学の臨床は、| Renogram | Thyroid uptake |
| 試料測定検査 | フィロカイネテックス |
| シリングテスト | 循環血液量 |
| Red Cell Survival Study | Platered Survival Study |
| Scintigraphy |
| Au-198 | I-131 | Tc-99m | Hg-203 | In-111 | Se-75 |
| Sr-85 | Ga-67 | Cr-51 | Fe-59 | Co-57 | Cs-131 |
| 第3条 | 目的)本会は放射性同位元素の正しい利用を図るために、核医学診療に関する研究を行い、かつ会員相互の親睦と資質の向上を図ることを目的とする。 |
| 第4条 | (事業)本会の目的を達成するために、次の事業を行う。 |
| 1、研究会の開催 | |
| 2、学術講演会の開催 | |
| 3、会誌の発行 | |
| 4、会員相互の親睦に関すること | |
| 5、その他本会の目的達成に必要なこと |
| 第5条 | (会員)本会の会員は、本会の趣旨目的に賛同したもので構成する。 |
| 第6条 | (役員)本会に次の役員を置く。 |
| 1、代表幹事 1 名 | |
| 2、幹 事 若干名 | |
| 3、監査監事 1−2名 | |
| 4、顧 問 若干名 |
| 第9条 | (役員の任務)代表幹事は本会を代表し、会務を統轄する。また代表幹事は幹事会を組織して本会の運営にあたる。 |
| 第10条 | (経費)本会の経費は、次の各号によりなる諸収入をもって充当する。 |
| 1、研究会例会参加費 | |
| 2、事業収入 | |
| 3、助成金 | |
| 4、その他 |
研究会発足当時の参加費は定かではないが、いつの頃か一人100円の参加費を徴収するようになった。そして、会則による一年の個人会費を定めたが、徴収方法が難かしく、途中中断となった。研究会の例会が場所を定め、定期的に開催されるようになって、再び、一人100円の参加費を徴収するようになった。しかし、この額では、ほとんどが通信費として消え、何度か会費値上げの話題もあったが、参加者の負担はなるべく軽くという方針から見送られてきた。講師の講演料は無料という伝統?に守られ、幹事は大変苦労しているのが現状である。助成金は(社)神奈川県放射線技師会より専門研究会助成という名目で1年に2万円受けている。その他の事業については、受益者負担で行っている。この項も今後の検討事項であろう。
第1回の研究会が日本鋼管病院で開催されたのが、昭和44年7月(1969年)である。図1に、1969年から1997年までの29年間における神奈川核医学研究会開催回数の推移を示す。
1.機関誌(KJNM)の発行
2.患者向けパンフレットの作製
3.海外学術交流会
4.神奈核ニュースの発行| ★100回記念大会(1987.9) | 県労働福祉センター |
| 150回記念大会(1992.11) | ワークピア横浜 |
| 200回記念大会(1997.11) | 開港記念会館 |
| ★25周年記念大会(1994.10) | 横浜市大病院 |
| ★退官記念講演会 | |
| 古田敦彦先生(1990.3) | 県労働福祉センター |
| 増岡忠道先生(1990.7) | 県労働福祉センター |
| 片山通夫先生(1991.3) | 県労働福祉センター |
| 加藤秀夫先生(1995.3) | ヨコハマプラザホテル |
| 三本重治先生(1996.7) | ヨコハマプラザホテル |
| 石井勝己先生(1997.7) | ヨコハマプラザホテル |
| ★核医学会役員就任記念大会(1995.12) | |
| 石井、鈴木教授 | ヨコハマプラザホテル |
【神奈川核医学研究会将来展望】| 32-P-Orthophosphate | 89-Sr-Chloride | 117-Sn-DTPA | 186-Re-HEDP | 153-Sm-EDTMP | |
おわりに