第315回 神奈川核医学研究会 研究会 報告

開催日時 2009年06月15日(月)
開催場所 かながわ県民センター
メインテーマ Sr-89の放射線防護


司会 渡辺 浩(横浜労災病院)
1.Sr-89適正使用マニュアル改訂版およびQ&A補填集の紹介−感染性廃棄物の取扱い 
渡辺 浩(横浜労災病院)
 平成21年5月、関係学会等によるSr-89に関する講習会が開催され、その中でSr-89適正使用マニュアル(略称)の改訂版ならびにQ&A補填集が公開された。
 これらは主にSr-89を含む感染性廃棄物の取扱いについて医療現場の理解を深めるとともに、公衆の安全を確保した上で合理的に取扱うための手法を解説したものである。講師の渡辺がこの作業グループのメンバーであることから、その内容を解説した。
 また、横浜労災病院においてSr-89による骨疼痛緩和治療の準備を行っていることから、準備段階で得られた知見と放射線管理上の手法を講演した。

2.Sr-89実施状況の紹介 各10分
@北里大学病院 菊地 敬
A横浜市立大学病院 安樂 摩美
B横浜市立大学センター病院 服部 太郎
 このセッションでは、既にSr-89による骨疼痛緩和治療を実施している3施設から、実施内容を簡略に解説し、治療を実施している病院間の相互啓発を行うことを目的に企画した。
 北里大学病院の菊池は、放射性医薬品メーカーから納入されたSr-89を患者に投与できる状態にするための分注作業について診療放射線技師が行うことを含め病院の公式な手順書として整備し、医療法等に基づき手順書通り実施したことを記録として残していることなどを講演した。
 横浜市立大学病院の安樂は、患者のエントリー方法や放射線管理状況などについて講演した。
 横浜市立大学センター病院の服部はSr-89の分注作業についてバイアルを下に置いた状態でカテラン針を使う方法によって十分にSr-89を全量抜き取ることが可能であることなどを講演した。

3.総合討論 30分  Sr-89に関するすべての講演の後、総合討論を行った。
 投与放射能(液量)は治療量であるため可能な限り決定された量にすべきであること、患者は体重の増減が激しい場合があるため投与当日に体重を測定することが望ましいこと、患者の管理区域退出時には放射線測定を行い、患者から1mの距離だけでなく患者近くでも測定を行い、Sr-89が投与されていることを確認することが望ましいことなどについて議論が行われた。

4.何でも質問コーナー(Sr-89以外のことでも構いません)
 このコーナーは川崎市立川崎病院の小野が司会を行った。
 今回はこのコーナーの初回ということもあり、千代田テクノルが最近は発売した核医学撮像装置の総合均一補正のための線源の概略を説明した後、このコーナーの趣旨と今後の運用について解説した。

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