会則よりみた神奈川核医学研究会の昨日・今日・明日
神奈川県立循環器呼吸器病センター 中村 豊

 神奈川核医学研究会の発足は昭和44年7月、会則の施行は昭和51年4月1日、その改正は平成2年7月27日に行われ、現在に至っている。
 現在の会則は17条より成り、総則、会員、役員、会計、会議、付則などを定めている。(研究会誌KJNM No.11.1997)このうち、重要な条より、今日までの研究会活動を反省し、今後のより活発な研究会活動の一助としたい。

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第3条   (目的)本会は放射性同位元素の正しい利用を図るために、核医学診療に関する研究を行い、かつ会員相互の親睦と資質の向上を図ることを目的とする。

 この条文に掲げられている研究会の目的は、核医学診療の発展に寄与する幅広い研究を目指している。過去にはGa-67 citrate の日本で初めての紹介や臨床的な応用が研究されたりした。また、全国に先駆けて核医学検査の保険請求方法が検討されたりもした。現在は核医学技術を中心とした勉強会的要素が強くなっている。核医学検査を啓蒙するパンフレットの作成が行われたように、神奈核の独自性を強調するような活動がほしい。
第4条   (事業)本会の目的を達成するために、次の事業を行う。
        1、研究会の開催
        2、学術講演会の開催
        3、会誌の発行
        4、会員相互の親睦に関すること
         5、その他本会の目的達成に必要なこと

 定例研究会は、過去には担当病院の医師や技師がテーマを決め、不定期に行われていた。現在は年10回の開催を定め、代表幹事や常任幹事会が責任を持って開催テーマの決定、講師の選任や会場の設営に当たっている。そのため、役員には大変な負担を負わせている。しかし、この活発な活動が県内外からも高く評価されている。また、研究会誌も不定期ながら、11回発行し、11号からはA4版となり、内容も大変充実したものとなっている。さらに神奈核ニュースがタイムリーに発行され、研究会の紹介は十分果たされていると思われるので、将来も継続されることを希望する。
第5条   (会員)本会の会員は、本会の趣旨目的に賛同したもので構成する。

 本会の会員の取り決めの条文であるが、第3条の目的に賛同したものと大変緩やかなものとなっている。核医学に興味を持つ者ならば御自由に参加して下さい。と解釈され、過去には医師、放射線技師、装置メーカーの技術や営業の方、放射線医薬品メーカーの学術や営業の方の参加が多かった。現在は、放射線技師(インビトロのテーマの時は臨床検査技師)や放射性医薬品メーカーの営業の方の参加は多いが、医師や装置メーカーの技術の方の出席が極端に少ない。会の運営の仕方にも問題はあるのだろうが、今後の核医学の発展のためには、医師や薬品メーカーの学術担当者や装置メーカーの技術者の参加が望まれる。また、放射性医薬品の取り扱いには薬剤師の関与が必要だろうし、核医学の普及のためには看護婦が無くては成らない。これらの医療職種の参加も望みたい。
第6条   (役員)本会に次の役員を置く。
        1、代表幹事   1 名
        2、幹 事 若干名
        3、監査監事 1−2名
        4、顧 問 若干名
第9条(役員の任務)代表幹事は本会を代表し、会務を統轄する。また代表幹事は幹事会を組織して本会の運営にあたる。

 現在の研究会は代表幹事1名、常任幹事8名、幹事6名、監査監事2名、顧問3名で運営されている。研究会発足初期には幹事の役割は研究会の事務や会計の仕事が多く、研究会の企画は担当病院に任せられていた。現在では、運営の総てを、主に代表幹事を中心に常任幹事が行っている。研究会の責任は代表幹事が負うことになっている。会長を置くかは今後の検討課題であろう。
第10条   (経費)本会の経費は、次の各号によりなる諸収入をもって充当する。
       1、研究会例会参加費
         2、事業収入
         3、助成金
           4、その他

 研究会発足当時の参加費は定かではないが、いつの頃か一人100円の参加費を徴収するようになった。そして、会則による一年の個人会費を定めたが、徴収方法が難かしく、途中中断となった。研究会の例会が場所を定め、定期的に開催されるようになって、再び、一人100円の参加費を徴収するようになった。しかし、この額では、ほとんどが通信費として消え、何度か会費値上げの話題もあったが、参加者の負担はなるべく軽くという方針から見送られてきた。講師の講演料は無料という伝統?に守られ、幹事は大変苦労しているのが現状である。助成金は(社)神奈川県放射線技師会より専門研究会助成という名目で1年に2万円受けている。その他の事業については、受益者負担で行っている。この項も今後の検討事項であろう。
 神奈川核医学研究会の活動は大変活発であると、県内外からも評価されているが、研究会を運営するには、多くの問題があるのも事実である。核医学を愛する人たちが集まり、発足した会である。この会に参加する多くの人たちの前向きな意見を参考としてますます発展することを期待する。